2025/08/13 21:37

感情がぐちゃぐちゃになる日があります。
自分でも理由がわからないまま、イライラがつのる夜。
あるいは、言葉にならない涙が溢れてくるようなとき。
そんなとき、私たちは「よもぎのお風呂」にそっと身をゆだねています。
それは、気合いや前向きな言葉で切り替えるのではなく、草の力に静かに身をゆだね、自分と向き合うための時間。
――まるで「草湯(そうとう)」のようなこの習慣が、少しずつ、心の奥にたまったものを、やさしく整えてくれるのです。

❶ よもぎは「心の熱」を鎮める草
よもぎは、古くから“心身の熱”をやわらげる薬草として用いられてきました。
中国の漢方では「艾葉(がいよう)」と呼ばれ、日本でももぐさや薬湯として親しまれてきた植物です。
実際に、以下のような「心の整理」に関わる作用があるとされています。
・自律神経を整える香り成分
・血行を促し、冷えを改善する温熱効果
・緊張や不安をやわらげるリラックス作用
・“けがれをはらう草”としての、霊的・象徴的な意味
つまりよもぎの入浴は、ただの温浴ではなく、感情や気の流れを調えるための“草の儀式”でもあるのです。

❷ お風呂に草を浮かべるだけで、整う
よもぎの入浴法はとてもシンプルです。
乾燥させたよもぎを、湯船に浮かべるだけ。
体がじんわり温まると、草の香りがふわりと立ちのぼり、それだけで、呼吸が深くなっていきます。
そして気づくと、さっきまでのモヤモヤや怒りが、湯気と一緒に、すこし遠くへ流れていっている。
感情は、ときに整理しようとしても、言葉にできないもの。
でも、草の香りは、そんな“名づけられない感情”に、静かに寄り添ってくれるように感じるのです。

❸ “整える”には、まず「はらう」ことから
私たちが大切にしている考え方のひとつに、整える前に“はらう”という段階があります。
体にたまった冷えや、不要なエネルギー。
人との関係で受けたストレスや、心に残った澱(おり)のような記憶。
それらを、草のちからでそっと洗い流すことができたら。
よもぎは、まさにそのための「浄化の草」なのです。
入浴とは、「脱ぐ」「はらう」「還る」という行為。
草と湯と香りが、その小さな儀式を支えてくれます。

❹ “気”のめぐりを整えるために
私たちの心と体は、「気(エネルギー)」によってつながっています。
よもぎは、その気を整え、心のめぐりを助けてくれる植物です。
そんな草のちからを、もっと身近に。
もっと自然な形で、日々の暮らしに届けていけたらと願っています。
いま、私たちは草の入浴剤『草湯らぎ』シリーズの準備を進めています。
香りが生きたままのよもぎを、きちんと乾かし、丁寧に刻み、ただのお湯ではなく、「草の湯」と呼べるようなものに仕上げていきたい。
疲れた日や、心を落ち着けたいとき。
草に身をゆだねるように、安心して入っていただけるお風呂を。
その想いを込めて、今日も草を摘み、手で仕上げています。

岐阜・郡上の山あいで、在来のよもぎを無農薬で育てています。
草のちからがそっと寄り添うような製品を、これからも一つひとつ丁寧にお届けしていきます。
このブログが、どこかの誰かにとって、草と自分をつなぎ直すような、やさしい時間になればうれしいです。


 
  
							